彼は私を狂愛した。
ピリリリリッ
鞄に入れていた携帯が鳴る。
まさか...
私はゆっくりと画面に目を向けた。
着信【悟】
さ、悟....。
私は安心して一回大きく息を吐いた。
「もしもし?」
「あー、魅音?」
電話越しから悟の元気な声が聞こえるだけで嬉しくなる。
「うん?どうしたの?」
だから、まさか彼の名前が出るなんて思ってなかった...。
「そう言えば慧兒が魅音に会いたいってさっき電話があった。
あ、慧兒っていうのは俺の高校時代の友達で…」
え...?
会いたいってなに...
私、またお金を求められるの...?
「ねぇ、悟...
それで…なんて言ったの?」
私が聞くと悟は少し時間をおいてから言った。
「俺もついでにお前に会いたいから
一応承諾しといたよ?
それに、魅音もあいつに会ってみたいでしょ?
めっちゃいいやつだからさ!」
そんな...
悟は私が慧兒に何をされたか知らないんだよね...?
それに悟は慧兒が私の元彼だってことも知らない...。
私は...会いたくなんてない...。
「ごめん、悟...私...」
__ポンポン
後ろから肩を叩かれた。