彼は私を狂愛した。

「やっと、会えたね?」



「……!」



驚きすぎて声も出なかった。



だって、だって…




目の前にいるのが




『舜』だったから__……




「魅音ちゃん?どうしてそんなに震えているの…?

俺が抱きしめてあげる…」




「いやぁ…!!」



舜に力強く抱きしめられる。




私は舜の胸を押した。



逃げたくて…逃げたくて



この現実を受け入れたくない…!




「…どうして、笑ってくれないの?」




ドクン__……




舜の口調が一気に変わった。




「やっ…ちが…」




グイッ



舜に腕を引っ張られ唇を重ねられた。



「んっ…!んっ…ぁ!」



苦しい…!



舜は私の口の中に自分の舌を入れてくる。



「やっ…!」



ガリッ




「いった…!」




つい、舜の舌を噛んでしまった。




あぁ…もう、殺される…!!




「あはは…可愛いなぁ、魅音ちゃんは…

そんなに俺の血が欲しいの…?」




おかしい…!


頭がおかしいよ…。



「分かった、ちょっと待ってね?」




グサッ


ポタポタ…



舜がポケットからナイフを取り出し



自分の腕を思い切り刺した。



「はい、…舐めて?」



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