彼は私を狂愛した。
「え…」
それを聞いた瞬間心臓が大きく動いた。
…そんなこと言われたら何も言い返せない。
「……」
「魅音ちゃん?」
舜が私の名前を呼ぶ。
舜の瞳は昔と少しも面影の残っていない真っ暗な闇のよう。
「ううん」
「そっか、…ていうかなんかいい匂いするけど…なんか作ってた?」
あ…そういえば私、悟のためにハンバーグ作ってたんだ…
「何作ってたの?」
舜がニコニコ笑いながら私に尋ねる。
「…ハンバーグだよ」
私がそう言うと舜はガッツポーズをした。
「やったー!俺のために作ってくれたんでしょ?」
なにいってんの…
言葉の返し用がない…
「魅音ちゃんの手料理食べたいな」
舜はそう言って私の髪を撫でる。
「…わかった…」
私は舜を部屋に入れて
テーブルに出来上がったハンバーグを置いた。
「いただきまーす」
舜は嬉しそうに笑いながら器用に箸を使う。
そして
「はい、魅音ちゃん。あーんして?」
「え……?」
もしも断ったら今にも殺されそう。
私はゆっくりと舜に近づき
ハンバーグを口に入れた。
「おいし?」
ゴクッ__
…あれ、喉に通らない。
なんで…
「ゲホッ…」
「魅音ちゃん?どうした?」
舜が心配そうに私の背中を叩く。
「大丈夫?」
「…うん」
「良かった」
舜はそう言って安心した表情を浮かべた。
「そういえばさ、悟さんだっけ?
あいつ、本当いいやつだったよ」
「…え…?」
なんで今更悟のことを話すの?
やめてよ…
これ以上私を壊さないで