彼は私を狂愛した。


「…魅音、お前は俺から逃げられないよ」


慧兒はそう言って笑った。



そして私の身も心もボロボロにした。



それからはあまり覚えていない。


ただ、一つ覚えているのは


私の右腕にタバコを押し付けている時の慧兒の顔が


とても悲しそうだったことだけ__




目覚めた時はもう夕方だった。



そして私の右腕には下手くそに包帯が何重にも巻かれていた。



「…魅音?起こしちゃった?」


慧兒が私を見つめる。



「…ううん、自然と目が覚めただけだから。……ッ!」



その時右腕に一瞬激痛が走った。








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