望む光へ歩け彼方へ
予感
遠くを白い鳥が飛んでいく。

海面は輝き、空に負けない澄んだ青がそこにはあった。

まだ寒い海には人気がない。
にもかかわらず、海はこんなにも美しい。

ざーっ。ざーっ。

寄せては返す波が、砂を巻き込み海へと戻っていく。


美しい景色を独り占めしながら、波打ち際をそっと歩いていくと岩壁にたどり着いた。

そこは、閉鎖され冷えきっていた。

足が重くなるような。空気が重くなるような。

誰かがいる。気配を感じながらなおも近づいて行く。

そこには、寒さを感じなくなるほど薄着をした少女が立っていた。

「笑っちゃうよね」

少女は岩壁から海へと一歩前へ出た

「笑っちゃうよ」

誰にともなく呟いた。

「こんな指なんて」

岩壁の淵にたどり着く。

「いらない」

少女は、か細い身体から力を抜いた。



ぽちゃん

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