沖田総司は恋をする
食事を終えた後、僕は奈津美さんと共に部屋に戻る。

「さてと」

奈津美さんは僕の方を見た。

「それじゃあ、まずは着替えましょうか?」

「着替え?…いえ、出掛けるならばこのままでも…」

そう言う僕に。

「とんでもない!」

彼女は驚いたような顔をした。

「沖田さん、今の自分の格好わかっていますか?」

「……」

着物に袴、新撰組隊士の証である浅葱色に段だら模様の羽織、腰には刀…。

「何か問題でも?」

「勿論です!」

奈津美さんは強く頷いた。

「ここは、沖田さんの時代とは違うんです。そのままの格好ではコスプレと間違えられますよ?」

…はて…こすぷれ、とは一体何なのだろう。

「それに!」

奈津美さんが指差したのは、僕の愛刀だった。

「そんなもの下げて歩いていたら、警察に連れて行かれますよ!」

「な、何を…!」

こればかりは反論させてもらわねばならない。

「刀は侍の魂そのものです。奈津美さんはそれを持ち歩くなと仰るのですか!?」

< 16 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop