沖田総司は恋をする
刀を預けた後、奈津美さんは僕に着物を渡してくれた。

着物といっても、僕が今まで見た事もないような洋装だ。

「ジーパンとYシャツ…着方、わかりますか?」

「ぢぃぱん…わいしゃつ…」

見るのも初めてだから、着用の仕方など知る筈もない。

「困ったな…」

奈津美さんは困惑したような表情を見せ。

「…仕方ないです…今着ている物…脱いでいただけますか?私が着せてあげます」

「なっ!?」

彼女は赤面しながら、大胆な事を口にした。

「な、な、奈津美さんが、僕に!?」

「はい。だって沖田さん、着方わからないでしょう?」

そう言う奈津美さんも、困っているのは事実のようだった。

し、しかし、女性の前で着物を脱ぎ、ましてや服を着せてもらうなどと…。

とうに成人を迎えた僕が、このような童子のような…。

「…さ、沖田さん」

「む…むぅ…」

奈津美さんは恥をしのんで言って下さっているのだから、無碍にするわけにはいかない。

「よ…よろしくお願いいたします」

僕は…赤面しつつも…着物を脱ぎ、奈津美さんに洋装を着せていただく事にした。

下帯だけの姿になった時は、流石にお互い顔から火が出そうだったが。

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