沖田総司は恋をする
奈津美さんに着せてもらった洋装…『じぃぱん』と『わいしゃつ』。

初めて身に着けたものだが、何だか動きづらい。

これでは刀も差して歩けないし…もっとも、刀は預けてしまっているが。

「後は髪ですね」

奈津美さんは僕の背後に回り、髪に触れた。

「長髪なんですね…後ろでまとめてしまえばいいかな…」

優しい手つきで、僕の髪を束ねる奈津美さん。

…なぜだろう。何だか胸が高鳴る。

「さ、できましたよ」

着替えを済ませた僕を、奈津美さんは姿見に映した。

「……」

鏡に映った僕は、普段見る僕の姿とはまるで違う。

新撰組の証である羽織をまとっていない僕は…既に侍ですらなく、この時代の若者のようだった。

だけど。

「うん、よく似合っていますよ。沖田さん」

奈津美さんは笑顔で、僕に言ってくれる。

「き…恐縮です…」

何だか、恥ずかしいような気分だ。

着物や、髪型を変え、それを女性に誉められるというのは初めての事だった。

何だか、こそばゆいような気分になってしまう。

だが…悪い気分じゃない…。

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