沖田総司は恋をする
そこは、見た事もない部屋だった。

初めて目にするようなカラクリ仕掛け。

硝子の大きな筒。

色とりどりの光を放つ箱。

京都の街の写真館で見た、「かめら」によく似たものも置いてある。

僕はゆっくりと起き上がり…。

「!」

そばに、二人の女性が立っている事に気づいた。

…洋装の女性。

片方は白衣を身にまとっており、もう片方は脚部もあらわな風変わりな着物を着ている。

髷も結わず、見た事もないような出で立ちだ。

「…へきるさん、この人…」

白衣の女性に話しかける、脚部をあらわにした女性。

「ええ…奈津美ちゃんの考えている通りみたいね…」

白衣の女性は、恐る恐るといった様子で僕を観察する。

「浅葱色に段だら模様の羽織…それに整った顔立ち…多分間違いないわ」

そう言って彼女は、僕と視線を合わせた。

「あの…失礼ですが、お名前を聞いていいかしら…?」

「……」

敵意はなさそうだ。

僕は神妙な顔をして答えた。

「新撰組一番隊組長、沖田総司です」


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