沖田総司は恋をする
大きな通りに出ると更に驚いた。

通りを行き交う、箱型の鉄の乗り物。

「自動車ですね。なんて説明すればいいのかな…燃料を入れて動かす、機械の乗り物です」

「燃料?馬車ではなく?」

「はい、ガソリン…油ですね」

すごい時代になったものだ。

僕の時代では、移動と言えば徒歩か馬だったのだが…。

それにしても…。

「空気が悪いですね…この時代は、このように空気がよどんでいるものなのですか?」

僕は軽く咳き込んだ。

「ああ…多分排気ガスのせいですよ」

「排気がす?」

「はい。車が走ると、どうしても排気ガスが出てしまうんです」

「……」

ここでも、文明の代償、という訳か。

わざわざ空気を濁らせてまで、なぜこのような文明を取り入れる必要があったのか。

確かに便利だといえば便利かもしれないが…。

我が物顔で街中を行き交う自動車とやらを見ながら、僕は複雑な胸中だった。

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