沖田総司は恋をする
照れている僕を覗き込むようにして、奈津美さんは言う。

「沖田さんは、恋人とかいないんですか?」

「ぼ、僕は幕府と京の治安を守る新撰組の一番隊組長です。惚れたはれたなどと現を抜かしている場合では…」

「あ~、そうやって女の子をたくさん泣かしているんですね?」

「なっ…」

奈津美さんの言葉に絶句する。

奈津美さんは微笑んだ。

「きっと、沖田さんに憧れている女の子はたくさんいると思いますよ」

「そ、そんな事は…」

「ありますよぉ」

空を見上げ、物思いにふけるような表情の彼女。

「剣の腕がたって、新撰組の組長さんで、美形で、優しくて…これだけの条件が揃ってて、憧れない方がおかしいです」

彼女は僕を見て。

「私だったら、絶対放っておきませんもの」

そんな、心臓を鷲掴みにするような台詞を口にした。

…動悸が止まらない。









何で僕は…この女性の前で、こんなにもドキドキしているんだろう。

まだ知り合ったばかりの、違う時代に生まれた、この女性に…。




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