沖田総司は恋をする
緊急事態に、奈津美さんとへきるさんは慌てている。

「だ、誰もいないの?あの部屋に!」

「ああっ、どんどん火の手が大きくなってる…消防車…119番…!」

動揺する二人。

奈津美さんが、けいたい、を出して、震える指で操作している。

成程、助けを呼ぶのか。

しかし…。

「助けを待っていては間に合いません」

僕は走り出た。

「女の子を…助けてきます!」





           ◆◆◆◆◆





「女の子を助けてきます!奈津美さんとへきるさんはここで待機を!」

私達にそう言って、沖田さんは走っていった。

え…?と思い、私はへきるさんと顔を見合わせる。

「ちょっ…駄目ですよ沖田さん!消防車を待ちましょう!」

叫ぶものの、沖田さんは立ち止まりもせずにマンションの階段へと向かう。

「大丈夫、女の子は無事助け出します!」

そういう事を言ってるんじゃなくて、沖田さんが危ないから言ってるの!

そんな私の胸中も知らずに、沖田さんは階段を駆け上がっていった。

< 36 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop