沖田総司は恋をする
火の勢いは強く、室内はもう殆ど炎の舌に舐め尽くされている。

くわえて…。

「くぅ…」

何だか、頭がくらくらする。

高すぎる温度のせいなのか、この煙のせいなのか…。

「っ…」

皮膚を貫き、血が滲み出るほど唇を噛み締めて、痛みで意識を覚醒させる。

ここで僕が倒れたら、あの幼子は確実に命を落とす。

絶対に意識を失う訳にはいかなかった。

煙を吸わぬように口を塞いだまま、炎に巻かれないように室内を歩く。

時折降り注ぐ火の粉に、肌が焦がされるような感覚があった。

しかし、怯まない。

…幼子一人助けられなくて、何が一番隊の組長か…!!

そんな思いで、よろめく体を必死に支える。

その時だった。






「たすけてぇ…」




微かに。

しかし確かに、小さな声が聞こえた。

その声が、僕に再び力を与える。

「そこか!」

炎が行く手を遮る。

それすらも飛び越えて、僕はついに幼子を見つけ出した。

「大丈夫か!よく頑張ったな!」


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