沖田総司は恋をする
「何て無茶な事するんだ、この馬鹿が!」
口の悪いその火消しは、地上に降りて手当てを受ける僕を酷く罵倒した。
…しかし、悪い気はしなかった。
自分本位で、身勝手で、己の保身しか考えない。
この時代の人々は、皆そうなのだと思っていた。
事実、あの幼子を助けに行った者は僕しかいなかった。
隣室の人々すら、我が身可愛さに、部屋に閉じ込められたままの幼子には見向きもせずに逃げてしまっていた。
だが…この火消しのように、命を賭して他者の命を救おうとする者もいる。
まるで、国を憂いで命を張った、僕の時代の憂国の士のように…。
「しっかし…」
火消しは僕を見て、ニヤッと笑う。
「部屋に取り残された子供を、体を張って助け出そうなんざ、今時の若造にしては見上げた度胸だ。お前、名はなんていう?」
「……」
僕はフッと笑みを浮かべる。
「しがないただの通りすがりですよ」
「ケッ!かっこつけやがって!」
バシン!と背中を叩かれた。
そのヒリヒリするような痛みでさえも、何だか心地よかった。
口の悪いその火消しは、地上に降りて手当てを受ける僕を酷く罵倒した。
…しかし、悪い気はしなかった。
自分本位で、身勝手で、己の保身しか考えない。
この時代の人々は、皆そうなのだと思っていた。
事実、あの幼子を助けに行った者は僕しかいなかった。
隣室の人々すら、我が身可愛さに、部屋に閉じ込められたままの幼子には見向きもせずに逃げてしまっていた。
だが…この火消しのように、命を賭して他者の命を救おうとする者もいる。
まるで、国を憂いで命を張った、僕の時代の憂国の士のように…。
「しっかし…」
火消しは僕を見て、ニヤッと笑う。
「部屋に取り残された子供を、体を張って助け出そうなんざ、今時の若造にしては見上げた度胸だ。お前、名はなんていう?」
「……」
僕はフッと笑みを浮かべる。
「しがないただの通りすがりですよ」
「ケッ!かっこつけやがって!」
バシン!と背中を叩かれた。
そのヒリヒリするような痛みでさえも、何だか心地よかった。