沖田総司は恋をする
「…落ち着いて聞いて下さい」

へきるさんは再び言う。

「今は、貴方のいた時代から150年近く経った未来です」

ひゃく…ごじゅうねん…。

僕は愕然とした。

…へきるさんが説明する。

彼女と、彼女の隣に立つ女性…早乙女奈津美さんは科学者という奴で、長い研究の末、時間跳躍機なるカラクリを完成させたらしい。

その名の通り時間を跳躍し、様々な時代へと行き来できる機械。

だがその機械が、誤作動を起こした。

時間跳躍機は無作為に時代を選択し…。

「不幸にも、沖田さん…貴方をこの時代に召喚しました」

「……」

説明してもらった所で、信じられない話だ。

「論より証拠ですね」

へきるさんの隣に立っていた奈津美さんが、僕を引き起こす。

そして窓のそばに立たせた。

「見て下さい。これが今の時代の風景です」

「…!」

僕は目を疑った。

…空を貫くような高層の箱型の建物、往来を走る箱型の乗り物、行き交う人々はみな洋装で、まるで異人のような出で立ちだった。

ここは…日本ではないのか…?

「いえ…」

奈津美さんは首を横に振る。

「ここは間違いなく日本…貴方の時代から約150年後の日本です」

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