沖田総司は恋をする
やがて、日が傾き始めた。

僕の、侍ではなく、ただの若者としての休日もそろそろ終わりを告げる。

「楽しかったですねぇ」

人通りのない、静かな並木道を歩きながら、奈津美さんが背伸びをする。

「貴重な体験でした。この時代は本当に素晴らしい」

僕も奈津美さんの少し後を歩きながら、笑みを浮かべて言った。

「よかった」

奈津美さんは振り向いて、僕の顔を見る。

「初めて沖田さんを連れてこの時代を案内した時、沖田さんは複雑な表情をしていました。こんな時代になるなんて、とか言いたげな顔をして」

「そ、そうでしたか…?」

「はい」

奈津美さんはさも可笑しげに頷く。

「でも、安心しました。今はこの時代を受け入れてくれている」

「……」

それは、奈津美さん、貴女がこの時代を笑顔で生きていられているからかもしれない。

僕は心の中で小さく呟いた。

…僕と奈津美さんは、また数歩並木道を歩き。

「沖田さん」

奈津美さんはふと振り返った。

「この時代に、残る気はありませんか?」

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