沖田総司は恋をする
僕は目を疑った。

口を押さえた右手。

その手のひらに、血がこぼれていた。

…僕は、吐血していた。

「沖田さん!!」

へきるさんが僕の体を支える。

「すぐに病院に行かないと!!貴方の命にかかわるわ!」

…吐血したのは、これが初めてだ。

なのにへきるさんは、僕の体がどういう状態なのか、僕以上に詳しく知っているようだった。

「どういう事です…?」

「…………」

へきるさんは言いよどむ。

何かを隠している顔だった。

重大な秘密を、胸の奥に秘めている顔…。

「何かを隠しているんですね?」

思えば、奈津美さんもおかしな所があったのだ。

僕がどのような最期を遂げるのか尋ねた時も、どこか言葉を濁すようなところがあった。

それは、本人を前にして言えないだけなのかと思っていたのだが。

「へきるさん」

強引に、彼女の知っている事を聞き出そうとする。

「…沖田さん」

へきるさんは苦しげに言った。

「貴方は…結核におかされているの」

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