沖田総司は恋をする
既にこの日はもう夜も更けていた。

「沖田さん、こちらへ。今日から沖田さんはこちらで休んでくださいね」

奈津美さんに通されたのは和室だった。

やっと見慣れた雰囲気の部屋に案内され、少し安心する。

「食事などはなるべく和食の方がいいですよね?パンやパスタじゃあ…」

「ぱん?ぱすた?」

「いえ、何でもないです」

奈津美さんは苦笑した。

それにしても…。

僕は赤面して目をそらした。

「…何ですか?」

僕を見る奈津美さん。

「…失礼ですが…この時代の女性は、皆さんそのような着物を着ておられるのですか…?」

「…?」

奈津美さんは自分の格好を見る。

「そのようなって…このミニスカートの事ですか?」

「…はい…そんな…年頃の娘が足をあらわにするなどと…」

僕がそう言うと。

「ふふふふっ」

奈津美さんはさも可笑しそうに笑った。

「笑い事ではありません!嫁入り前の娘が!」

「ごめんなさい…でも」

奈津美さんは笑いすぎて涙さえ浮かべている。

「純情なんですね、沖田さん。この時代に、ミニスカートくらいで赤面する男性はいませんよ?」

「う…」

何たる不覚…僕は自分の修行不足を恥じた。

精神修行が足りないようだ…。


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