あたしのトナカイくん
──トン。

あっさりあたしの背中は、壁にぶつかって。

そしてあっさり、彼の手があたしの両側に置かれた。

……ああ、この体勢、またもやデジャヴ……。



「学習しないなぁ、サンタさん。なんでわざわざ、壁の方に向かっていくかね」

「と、戸波くんが、近付いてくるから……っ」

「ふは、答えになってないし」



また楽しそうに笑って、戸波くんは、あたしのあごに手を添えて上向かせた。

すぐ目の前に、意地悪そうな戸波くんの顔。あたしは耐えきれなくて、ぎゅっときつく目を瞑る。


うわあああん! 戸波くん本気??!

あっ、でもでもマンガとかでよくあるパターンなら、ここで寸止めして「バーカ冗談だよ(はぁと)」的な感じでおでこにコツンとかやるところだよね??!

若干戸波くんのキャラ的に「……?」ではあるけど、きっとそうなるはず!!

よっしゃ、おでこ!! おでこなら、いつでもデコピン準備バッチリです!!
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