あたしのトナカイくん
「戸波くんっ、さっきのアレ、なんなのっ?!」
バイト先の、休憩室。
人間の『三多 柚月』に戻ったあたしは、室内に足を踏み入れて早々、一緒に休憩をもらった彼に声を荒らげて噛みついた。
対する戸波くんはというと、のん気にパイプ椅子へ腰掛けながら「さっきのアレって?」、なんてすっとぼけている。
「さ、さっきの……あの、女の子に言ってたやつ!」
「ああ……『俺のペット』ってやつ?」
「ッ、」
制服の蝶ネクタイを外し、ワイシャツの首元を緩めながら意地悪く笑った彼に、あたしは思わずぐっと押し黙った。
なんだか頬が熱いのは気のせいにして、その整った顔を睨みつける。
「そう! い、いくらなんでも、ペットって言い方は、ひどいと思う!」
「じゃあ何、一見うさぎだけど中身は俺のすきな女の子だからあんまり困らせないでね、とでも言えばよかった?」
「~~~ッ、」
あまりに飄々と言われたそのせりふに、あたしはたぶん真っ赤な顔で、わなわなと口を震わせた。
そんなあたしを見て、戸波くんがふっと笑って。椅子から立ち上がる。
バイト先の、休憩室。
人間の『三多 柚月』に戻ったあたしは、室内に足を踏み入れて早々、一緒に休憩をもらった彼に声を荒らげて噛みついた。
対する戸波くんはというと、のん気にパイプ椅子へ腰掛けながら「さっきのアレって?」、なんてすっとぼけている。
「さ、さっきの……あの、女の子に言ってたやつ!」
「ああ……『俺のペット』ってやつ?」
「ッ、」
制服の蝶ネクタイを外し、ワイシャツの首元を緩めながら意地悪く笑った彼に、あたしは思わずぐっと押し黙った。
なんだか頬が熱いのは気のせいにして、その整った顔を睨みつける。
「そう! い、いくらなんでも、ペットって言い方は、ひどいと思う!」
「じゃあ何、一見うさぎだけど中身は俺のすきな女の子だからあんまり困らせないでね、とでも言えばよかった?」
「~~~ッ、」
あまりに飄々と言われたそのせりふに、あたしはたぶん真っ赤な顔で、わなわなと口を震わせた。
そんなあたしを見て、戸波くんがふっと笑って。椅子から立ち上がる。