あたしのトナカイくん
「これ、ふたつも俺もらっちゃって、いいの?」
「あ、うん。それ、ペアでくっついて売ってたから」
「ふぅん……じゃあさ、」
言いながら彼が、ふたつのストラップを繋いでいたテープをはがす。
その様子を眺めていたら、はい、と目の前に、トナカイのストラップが差し出された。
「へ?」
「トナカイのストラップは、柚月にやるよ。俺はこっちのサンタもらうから」
「え……いいの? でも名前的に、戸波くんがトナカイの方がいいんじゃない?」
おずおずとそれを受け取りつつも、あたしがそう訊ねると。
「バカだなー」、と戸波くんは言いながら、手にしているサンタのストラップを軽く振ってみせた。
「いいじゃん。わかりやすく、付き合ってる感じがして。まずは、ここで働いてる人たちに柚月は俺のだって教えておかなきゃなんないし」
「……!??」
にやり。そんな擬音がぴったりな意地悪い笑顔で、彼が言う。
あたしはというと、あまりの恥ずかしい言葉に、パクパクと口を開け閉めすることしかできなくて。
「っと、戸波くんの、おばかっ!」
「ハイハイ。そのおばかがすきなくせに」
「~~~ッ」
ふたりの手には、にっこり笑った、サンタさんとトナカイのストラップ。
あたしの彼は、年下だけど、なぜかトナカイだけど。
だけどきっとずっと、だいすきで。
きっとずっと、かなわないのかも、しれない。
/END
「あ、うん。それ、ペアでくっついて売ってたから」
「ふぅん……じゃあさ、」
言いながら彼が、ふたつのストラップを繋いでいたテープをはがす。
その様子を眺めていたら、はい、と目の前に、トナカイのストラップが差し出された。
「へ?」
「トナカイのストラップは、柚月にやるよ。俺はこっちのサンタもらうから」
「え……いいの? でも名前的に、戸波くんがトナカイの方がいいんじゃない?」
おずおずとそれを受け取りつつも、あたしがそう訊ねると。
「バカだなー」、と戸波くんは言いながら、手にしているサンタのストラップを軽く振ってみせた。
「いいじゃん。わかりやすく、付き合ってる感じがして。まずは、ここで働いてる人たちに柚月は俺のだって教えておかなきゃなんないし」
「……!??」
にやり。そんな擬音がぴったりな意地悪い笑顔で、彼が言う。
あたしはというと、あまりの恥ずかしい言葉に、パクパクと口を開け閉めすることしかできなくて。
「っと、戸波くんの、おばかっ!」
「ハイハイ。そのおばかがすきなくせに」
「~~~ッ」
ふたりの手には、にっこり笑った、サンタさんとトナカイのストラップ。
あたしの彼は、年下だけど、なぜかトナカイだけど。
だけどきっとずっと、だいすきで。
きっとずっと、かなわないのかも、しれない。
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