あたしのトナカイくん
「今さぁ、2月だろ? クリスマスから、もう1ヶ月以上経ったよな」

「へ、そ、そう、だね」



1歩、彼が近付いてくるごとに、自然とあたしの足は後退していく。

だけどここは、たいした広さもない休憩室。あっという間に、あたしの背中は壁にぶつかった。

トン。戸波くんが、あたしの頭の横あたりに片手をついて。

にっこり、それはそれは綺麗に笑った。



「──俺、結構待ってると思うんだけど。まだサンタさんから、返事は出してもらえないわけ?」

「……ッ、」



その近い距離に、また、かぁっと頬が熱くなる。

抵抗するみたいに、あたしは精一杯彼を睨みつけた。



「さっ、サンタじゃなくて、ミタだからっ!!」

「ふはっ、それ、久々に聞いた。最近言わないから、もう諦めたのかと思ってたのに」



すっと、彼の手が、あたしの髪をひと房持ち上げる。

それをもてあそびながら、また、戸波くんは意地悪そうな顔で笑った。



「……もしかして今、動揺してる?」

「ッな、」
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