あたしのトナカイくん
内心怯えるあたしの目の前で、りっちゃんが綺麗な茶色いボブを揺らしながら、ぐっと身を乗り出した。
「何それあんた、まだ返事すら考えてないの??!」
「か、考えてないって、いうか……っ!!」
自分に突きつけられている箸から目を離せないまま、あたしは答える。
「考えてるけど、わ、わかんないんだもん!! だって相手は、年下だよ?! 未来ある高校生よ?! まわりにまだ若い子たくさんいるのに、なんであたしがって、思うじゃん!!」
「グダグダうっさいわね! すきって言われてんだから、それでいいでしょお?!」
「だって戸波くん、イケメンなんだよ?! 背も高いんだよ?! ちょっと性格に問題ある気するけど、あたしなんかにはもったいないと思うんだもん!!」
「なんだよそれノロケかよ!!」
そこでりっちゃんが、はぁっと、深くため息を吐いた。
椅子に座り直して、ピシリと、もっかい箸をこちらに突きつける。
「いーい柚月。少なくともバレンタインまでには、トナカイくんに返事すんのよ? ずるずる先延ばしにしたって、それこそトナカイくんがかわいそうなだけなんだからね?」
「う……っ」
「あーあ。同情するわ、トナカイくん」
そう言ってりっちゃんは、再び目の前のAセットを消費し始めた。
あたしも遅れて、スプーンとフォークに手を伸ばして。
だけども全然、大好きなはずのナポリタンは、のどを通らなかった。
「何それあんた、まだ返事すら考えてないの??!」
「か、考えてないって、いうか……っ!!」
自分に突きつけられている箸から目を離せないまま、あたしは答える。
「考えてるけど、わ、わかんないんだもん!! だって相手は、年下だよ?! 未来ある高校生よ?! まわりにまだ若い子たくさんいるのに、なんであたしがって、思うじゃん!!」
「グダグダうっさいわね! すきって言われてんだから、それでいいでしょお?!」
「だって戸波くん、イケメンなんだよ?! 背も高いんだよ?! ちょっと性格に問題ある気するけど、あたしなんかにはもったいないと思うんだもん!!」
「なんだよそれノロケかよ!!」
そこでりっちゃんが、はぁっと、深くため息を吐いた。
椅子に座り直して、ピシリと、もっかい箸をこちらに突きつける。
「いーい柚月。少なくともバレンタインまでには、トナカイくんに返事すんのよ? ずるずる先延ばしにしたって、それこそトナカイくんがかわいそうなだけなんだからね?」
「う……っ」
「あーあ。同情するわ、トナカイくん」
そう言ってりっちゃんは、再び目の前のAセットを消費し始めた。
あたしも遅れて、スプーンとフォークに手を伸ばして。
だけども全然、大好きなはずのナポリタンは、のどを通らなかった。