【完】恋の太陽、愛の月
「今あのお花屋さんで働いてるんでしょ?」
「うん」
馬鹿にみえてきたと言っても緊張はほぐれないもので。
目なんか見る事はできない。
「ひなー?なんで目見てくれないの?」
「べ、別に」
「寂しいじゃん」
「・・・そのうち見るから。そのうち」
「そのうちってどのうち笑」
太陽君は笑いながら荷物を近くの椅子に置き、その隣に座った。
ポンポンとその隣に手を置いて私を呼ぶ。
すごくぎこちないお礼を言って太陽君の隣に座った。
「太陽君は、どうして帰ってきたの?」
私は思い切って聞いてみた。
咲夜からはなんで太陽君が帰ってきたのか教えてもらってない事を思い出して。
「ひなに会いに来た」
「・・・え?」
「それだけ」
「う、嘘だぁ。他に理由なきゃ帰ってこないでしょ東京からなんて」
「嘘じゃないよ。俺は約束をひなが覚えているかどうか聞きに来ただけ」
"約束"
それは私が昔交わしたもの。
とっくに忘れられていると思っていたあの約束。
「太陽君それって──」