【完】恋の太陽、愛の月
「今の電話、彼女に?」
「・・・あ、ああ」
「そっか。あ、そうそう!ひなが全然帰ってこなくてさぁ。店番してたのはいいんだけど大事な花束を僕じゃなくてひなに作ってほしいっていう客がいてね?電話かけても出ないし・・・。店にその客待たせてちょっと近くまで見にきたんだよ。見かけてない?ひなのこと」
「・・・悪い。見てない」
嘘、嘘、嘘。
俺は今までどれだけ嘘をついてきたのか分からない。
「まじかぁ・・・!どこまで行ったんだろ。さすがにここら辺の店だよなぁ」
「・・・ここら辺には店ちょっとしかないし、手当たり次第に探してみたらどうだ?」
「そうだね、そうする!」
俺は太陽を少し避けながら歩き始めようとした。
でもそれはすぐに阻止される。
「そうだ咲夜。今日の夜辺りにでも会えないかな」
「・・・何かあったのか?」
「いや、久しぶりに男同士ゆっくり話したいなって思って」
「なんだよそれ」
「場所は・・・そうだなぁ昔三人で作った秘密基地で待ち合わせな!」
「そこ、もうなくなってるけど」
「えっ!?」
「公園になったよ。そこは」
「そっかぁ、じゃあその公園でいいや!ってことでよろしく!」
「あっ・・・おい!」
まだ行くと答えてもいないのに、太陽は俺の言葉を待たずにひなたを探しに行ってしまった。