【完】恋の太陽、愛の月
僕は中学校にあがってからバスケ部に入った。
身長もそこそこにあって、運動神経も悪くない。
バスケ自体も嫌いじゃなかったからやってみた。
それだけだった。
でも、何故か才能を開花させた僕はあっという間にレギュラー入り。
顧問にもエースとまで言われるようになった。
そんな僕はクラスで注目の的に。
女の子からキャーキャー言われて、男子たちにももてはやされる。
別にそれが嫌なわけじゃなかった。
僕が嫌なわけじゃなくて、部活の先輩がそれを嫌がった。
まだ入ってきたばかりでしかも素人だった僕にレギュラーを奪われた先輩たちは激怒した。
・・・そっから先は手をとるように分かるだろう。
僕は部活内でいじめにあっていた。
ロッカーの中身が全部切り刻まれていたり、ひなからもらった思い出のものだって壊されたりした。
一番つらかったのはひなから届いた手紙が破かれてゴミ箱に入れられてたこと。
僕はそれを表に出さずに学校生活を過ごしていた。
だけどそれは僕から言わなくても先輩たちが言いふらせば簡単なことで、あっという間に広まった。
僕は違う意味でクラス、いや学年、全校で注目の的になった。
『イケメンでバスケもうまくて勉強もできる!性格だっていいのに、いじめられてるんだって・・・!でもあの人なら彼女になりたい』
『あいつ顔もよくて運動神経もいいし、超モテモテだよな!勉強だってできるし!!でもいじめられてんだよなぁ。そんな風に見えないんだけど』
まわりはひそひそ何かを噂するだけで、僕を助けようとはしてくれなかった。
助けてほしいなんてこれぽっちも思ってなかったけど。