【完】恋の太陽、愛の月
「おい!朝比奈!てめぇ聞いてんのか!!」
「・・・せぇんだよ」
「あ?」
「ガタガタうるせぇんだよ!お前ら先輩だかなんだか知らねぇけど、俺をいじめる前にやることねぇのか!?俺にレギュラーとられたからってなんなんだよ!そんなに嫌なら実力で取り戻せよ!!」
「・・・んだと」
「うぜぇのはどっちだ。黙ってりゃいい気になりやがって。俺は朝比奈財閥の跡取り息子だ。いい加減にしねぇとお前らの親の会社潰すぞ」
ある日僕は僕を偽ってみた。
すると、効果があらわれたんだ。
今までいじめてきた先輩たちがぱっといじめをやめて部活に専念しはじめた。
周りで騒いでた野次馬もどこかへ消えた。
僕の本性だと思ったのか、女の子たちは僕に一切近づかなくなった。
何かと声をかけてきていた男子たちも話しかけてこなくなった。
僕はようやく本当の一人になれた。
今までの生活と比べるとよっぽどすっきりした。
家のことはさすがにケリをつけることはまだできないけど、いつかはケリをつけてやる。
・・・でもその前に。
僕はひなを手に入れなければならない。
変わった僕なら卑怯になれる。
なんでもできる。
僕は僕を偽れるんだから、咲夜とひなを偽ることもできるはずだ。
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