【完】恋の太陽、愛の月
次の日。
昨日、あれ以来太陽君から連絡が来る事はなかった。
でも一日くらいなら。
と思って私も連絡を入れなかった。
もしかしたらお父さんの体調がすぐれないのかもしれないし。
それに太陽君はまた電話するって言ってくれたんだから。
「いらっしゃいませー!」
お店のドアが開く。
私はいつものようにお客さんを迎えた。
「ガーベラのフラワーアレンジ頼みたいんですけど」
「かしこまりました!では・・・」
レジの前に立つお客さんの姿を見て私は何も言えなくなった。
「・・・よう」
「咲夜・・・」
そこにいたのは咲夜だったから。
私はさっと目をそらして、作り笑いを浮かべながら「少々お待ちくださいね」と伝える。
ガーベラのある所に歩き出した時、がしっと咲夜に腕を掴まれた。
「な、何」
「・・・この前のことは、本当に悪かった。でも本気じゃない。忘れてくれないか?俺とひなたはただの幼馴染。だから普通に・・・接してほしい」
「・・・」
「楓にあんなこと言われた後だったから・・・。俺もどうかしてたんだと思う。昔はひなたのこと好きだったから」
「・・・」
「だから多分思わず、口から出たっていうか。とにかく、深い意味はないんだよ!!太陽にも誤解されるかもしれないから・・・その。普通に前と同じ風に接してほしいんだ」
私は咲夜の言葉をそのまま受け止めることはできなかった。
「前と同じ風にはいかないよ・・・。馬鹿咲夜」