【完】恋の太陽、愛の月
咲夜は自分勝手だ。
告白も、告白の取り消しも、何もかも。
だから前と同じ風に接してほしいっていう咲夜の願いも自分勝手に聞こえた。
「ひなた・・・」
「やっぱり少し意識とかしちゃうし。前みたいになんて無理」
「意識?俺のこと、意識するのか?」
「するでしょ。好きだって言われたら誰だって」
咲夜はなぜか私のその言葉を聞いて少し微笑んだ。
「何笑ってるの?」
「いや・・・。ちょっとな」
「気になるでしょ!」
「・・・俺の言葉なんてひなたを意識させられるほどの力があるとは思わなかったんだよ」
「だから笑ったの?もう・・・こっちは真剣なのに!本当咲夜って意味わかんない」
「分からなくていい。俺のことなんか。お前は太陽だけ見てればいいんだ」
ズキン
胸のどこかが少し痛んだ。
どうしてそんなにも切ない顔で笑うの?
さっきは嬉しそうに微笑んだのに、今はすごく辛そう。
「か、楓ちゃんとは・・・どうなの」
「ああ。連絡来ないよ。あれからまだちょっとしか経ってないし当たり前かもな。もう少し時間が経ったらまた連絡するつもり」
「・・・本当に私のことが過去、なんだよね?」
「ああ、過去だよ」
「なら楓ちゃんが本気で好き?好きならすぐにでも言わないと本当に咲夜の傍からいなくなっちゃうよ?」
「そうだな。・・・でも、楓が本気で好きかって言われると今はもう何とも言えない」
「え?」
「本気で好きになりかけてたって言うのが本音だから。・・・とりあえず楓が笑ってくれればいいなとは思う」
「咲夜・・・」
「俺に恋は向いてないんだよ」