【完】恋の太陽、愛の月
そんなことないよ。
そう言いたかったけれど、どうして私にそんなことが言えるのだろうか。
咲夜のことを知っているつもりだった私は、咲夜の恋愛に関してこれっぽっちも知らなかったのに。
咲夜が私のことをいつまで好きでいてくれたのか。
咲夜と楓ちゃんがどうして付き合い始めたのか。
咲夜が最初に付き合った人は誰なのか。
何も知らない。
自分から語ろうとしない咲夜だからかもしれないけど、私は知ろうとしなかった。
・・・どうして?
それは多分怖かったから。
咲夜の恋愛を聞くのが。
私はただの幼馴染で、でも咲夜が傍にいてくれるのが当たり前になってて。
そんな咲夜に好きな人や彼女ができたらきっと私から離れていくだろうから。
私が男だったら離れてはいかないと思う。
だけど私は女だから。
彼女からも嫉妬される存在だと思うし、必要とされない存在。
それが怖かった。
咲夜と離れちゃうのが怖かったんだ。