【完】恋の太陽、愛の月
「そう落ち込むなよ。きっとそのうちひょっこり帰ってきたりするかもしれないだろ」
「そう、だよね」
「そうそう」
「うん・・・!」
「じゃあ俺そろそろ行くわ。またよろしくな」
「喜んで!」
咲夜がいなくなった後もお客様の足が止まることはなかった。
最近は小学生や中学生のお客様が多い。
「お姉ちゃん、500円で小さな花束とか作れたりする??」
「いいよ!誰かにプレゼントするの?」
「うん!今日パパとママの結婚記念日なんだ!!この日のために集めてたの!」
この子は小学2年生くらいの男の子。
少し太陽君に面影が似ている。
仮面ライダーの財布の中にはたくさんの10円玉と50円玉があった。
数えてみると確かにぴったり500円ある。
「分かった。じゃあ君のパパとママにぴったりの花束作ってあげるね?」
「ありがとう!!」
私はもらったお金よりも数百円高い花束を作ってその子に渡してあげた。
「わぁ・・・!綺麗!!ありがとう!!」
「喜んでくれるといいね♪」
「うん!!お姉ちゃんのお店、僕たち大好きなんだ!この前あゆみちゃんにこのお店教えてもらったの!!」
「あゆみちゃん??」
「うん!!僕のともだち!」
私の知らない間に小さい子たちの話題になっていたこのお店。
そこから口コミで、大人の人たちにも伝わっていったらしい。
どおりで新規のお客様ばかりが来ると思った。
・・・そういうことだったんだ。