【完】恋の太陽、愛の月
~♪
少しだけ客足が落ち付いた時。
私の携帯が音を鳴らした。
ビクッと反応した私はすぐに通話ボタンを押す。
期待と不安を胸にして。
・・・それが太陽君だと勝手に思いこみながら。
「も、もしもし??」
『もしもし三井さん!?お母様の容態が急変しました!!!急いで病院に来て下さい!!』
「・・・え?」
『もしかしたら・・・お母様はもう・・・』
私は店も閉めずに走りだした。
もちろんエプロンだってそのまま。
でも心の中はクエスチョンマーク。
お母さんがもう・・・何?
なんなの?
『お母様はもう・・・駄目かもしれません』
さっきの言葉が頭の中を回る。
呼吸が苦しくなる。
早く早くと足を動かして、もつれて、倒れる。
「・・・っ!!」
次第に私の目には涙が溜まっていた。
立ち上がろうとしても何故か立ち上がれない。
転んで泣き始めるとか子供みたい。
「大丈夫か!?」
「・・・た、いよ・・・くん?」
目の前が滲んでよく見えない。
「行くぞ・・・!」