【完】恋の太陽、愛の月
………

……






病院に着いて最初に私が見たもの。



ベッドの上に一人の女性。

顔には白い布。


周りを囲むのは看護婦さんとお医者さん。





「三井さん・・・」


そして私の目の前に立って悲しそうな表情を浮かべるのは・・・。


お母さんを担当していた医師だった。




「申し訳ありません・・・。精一杯のことをしたつもり・・・なのですが」





頭を激痛が走った。

耳鳴りがする。


私を苦しめているのは何?



「ひなたっ・・・」


「・・・あ。私・・・は」





病院まで私を引っ張ってきてくれた人。

それは太陽君じゃなく、咲夜だった。




「大丈夫だ。大丈夫だから・・・」


私を優しく抱きしめる咲夜の手は震えていた。


咲夜の腕の中で私は子供のように泣き喚いた。
< 129 / 180 >

この作品をシェア

pagetop