【完】恋の太陽、愛の月








「・・・ん」


あれからどれほど泣いたのだろう。

私はいつの間にか眠っていた。



よく見ると病院の備え付けのベッドに横たわっていた。

どうして・・・?
子供のように泣いた後、私どうしたっけ・・・。




ふと見ると、温かい掌が私の掌を包み込んでいた。


「咲夜・・・」


椅子に座って咲夜はすやすやと眠っている。


ずっと手を握っていてくれたのかな。




「ありがと、咲夜」


咲夜の手を離して、ベッドから立ち上がる。

しーんと静まりかえった夜の病院が私の心情を表しているかのようだ。




お母さんの病室に私は足を運ぶ。


足取りは重い。







名前が貼ってあった病室には、もう名前がなかった。


ガラガラといつものように扉を開ける。


でもそこには綺麗に片づけられたベッドとお見舞いの花らしきものがたくさんあるだけだった。



「・・・ベッドは片づけてあるけど、花とかはまだなんだ」


うつろな目で私は病室に飾ってある花を一つ一つ見た。


「・・・え、これって」



それは全て私の作ったガーベラのフラワーアレンジだった。
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