【完】恋の太陽、愛の月



翌日。



朝から私と咲夜はお母さんを引き取って家に連れてきた。


目を閉じているお母さんは寝ているかのように綺麗。






そして、病院を出る前にある一人の看護婦さんが私に一通の封筒を渡してくれた。



「これは三井さんからのお手紙です。三井ひなたさん宛ての」


「私に?お母さんから?」


「はい。つい昨日亡くなる寸前に・・・。私はよく三井さんとお昼休みとか普通にお話しする仲で。こんな大事なものを私に預けて・・・っ」


「・・・ありがとうございます」





私は家に帰ってきてからまだそれを読んでいない。


封を開けてもいない。

怖くて見れないから。



だって、これを見たら本当にお母さんがいなくなってしまう。
そんな気がしたから。




「・・・あ。ねぇ、咲夜さ」


「ん?」


「いつも頼んでたガーベラのフラワーアレンジって・・・。あれ、お母さんに渡してくれてたの?」


「・・・」



咲夜は急に私に背を向ける。


少しだけむっとした私は咲夜を追いかけるように顔を覗き込んだ。


「み、見るな」


咲夜の顔は真っ赤だった。

今までに見た事のない表情。


「な、何?どうしたの・・・咲夜」
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