【完】恋の太陽、愛の月


「ふぅ・・・」


「社長、一日くらい休んではいかがですか?一日くらいなら私にも・・・」


「丸岡さん。誰もいないんだからそんな風に固くしないでよ」


「しかし」


「一応これ社長命令ってことで」


「・・・ったく。しょうがねぇ坊ちゃんだよ太陽は」


「あははっ丸岡さんはそうでなくっちゃ」


「で、これマジな話なんだけどそろそろちゃんとした休みとらないとお前まで体壊してぽっくり逝っちまうぞ」





父さんはいわゆる過労死というものでこの世を去った。


仕事に生き、仕事に死んだ。


そんな父さんを僕は尊敬できない。




・・・どうしてそこまでできたのだろう。


と言ってる僕も今は仕事人間。


そんな僕と父さんの姿が丸岡さんにとって重なったのだろう。





丸岡信司-マルオカシンジ-


今年ちょうど30歳なのにまだ僕と同い年のような外見をしている。






丸岡さんは兄のようで友達のような人。


最近は全然話せなかったけど、ここ最近は仕事を通じてよく話せるようになった。



「それと、彼女に連絡はいいのかぁ?」


「・・・それは」


「太陽の父さんが死んだ今、社長代理をしてくれてるのは俺としてはすごく頼りになるし嬉しい。でも自分の時間をないがしろにはしてほしくないんだよ俺は」


「・・・ありがとう丸岡さん」


「ったく。ちょっと見ないうちに大人になりやがって。いつからだよお前が"信司兄ちゃん"って言わなくなったのは」


小さく笑いながら言う丸岡さん。




・・・本当、いつからだろうな。

僕は成長したと言えるんだろうか。
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