【完】恋の太陽、愛の月
【咲夜side】


………

……









「ひなた・・・そろそろいいか」


「・・・え?」


「いや、ずっと抱き合ってるのも・・・」


「あっ!!!!」



ひなたは慌てて俺の胸から飛び上がる。


はっきり言ってひなたのことを離したくはなかった。

このままいけば、もしかしたら俺のひなたになってくれたかもしれなかったからだ。



でもそんなのは卑怯だって分かっている。


昔のあの"約束"をひなたが思い出したとしても、今は太陽の彼女。


"約束"が果たされる事はない。



もう少し先に俺から行動を起こしていたら。

太陽よりも魅力があったら。



どんなに良かっただろう。





「ごめんください」


余韻に少しだけ浸っていた俺は突然の男性の声にびくっと体が反応した。



「店の方に誰か来たみたいだな」


「う、うん」

ひなたの後を追って店の入り口の方を見ると、背の高い俺らと同い年くらいの人が立っていた。



「はじめまして。朝比奈財閥秘書、丸岡信司と言います」


ひなたはその人から名刺を受け取った。

俺は軽く頭を下げる。


・・・朝比奈財閥。

太陽の会社の秘書がどうしてここに?
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