【完】恋の太陽、愛の月


太陽君が来てから昔を思い出す事が多くなった。

忘れていたわけじゃないけど、普段は思いだす機会なんてない事ばかり。



優しかった駄菓子屋のおばあちゃん。

私たち三人の溜まり場でもあったあの駄菓子屋。



お金の問題があって無くなってしまうと分かった時はすぐに私と咲夜で大反対した。

でも子供に止める力なんてなくて。



おばあちゃんは優しく私たちに「もういいんだよ。ありがとねぇ」と言ってほほ笑んでくれた。



悔しくて一晩中泣いてたっけ。

咲夜も黙っていたけど、その日はずっと私の傍にいてくれた。



また一つ太陽君とのつながりが無くなってしまった、そんな風にも思っていた私。



去年おばあちゃんが亡くなってしまった時なんか私は誰よりも大泣きしてしまった。

咲夜も静かに泣いていた。



この日も咲夜はずっと傍にいてくれたんだよね。

すごく安心していた私。



今目の前にいる太陽君がその日の私とシンクロする。


だから私は咲夜が私にしてくれたように、太陽君の背中を優しく撫でてあげた。





「ごめん。ばあちゃんがもう死んじゃったなんて、思わなくて。男なのに・・・カッコ悪いね」


「そんなことないよ」


「行く場所変更だ。お前らついてこい」


「ちょっ咲夜?勝手に・・・もうっ!!太陽君大丈夫?歩ける?」




咲夜の提案で何故か喫茶店ではない場所に行く事になった私たち。


・・・今日の咲夜は何考えてるのか全然分かんない。
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