【完】恋の太陽、愛の月



「電話、出られなくてごめんね。太陽君」


「・・・いや、別に気にしてないよ。僕も電話出られない時も何度もあったからね」


「あと・・・これ」



すっと差し出されたもの。

それは僕が丸岡さんに渡した婚約指輪だった。



やっぱりひなの手にちゃんと渡っていた。

よかった。



「・・・ああ、それ。ひなの指にぴったりだったでしょ?」


「うん」


「デザインもこの世でたった一つのものにしたんだ!オーダーメイドってやつ!ひなに喜んでほしくて・・・」


「・・・」


「ねぇひな。僕のプロポーズは受けてくれるんだよね?」



僕の言葉を聞いた瞬間、ひなの目からはぽろぽろと涙がこぼれ始めた。


これは喜びの涙?

それとも・・・。




「泣かないでよ。ひな・・・」


「ごめ・・・んなさ・・・」


「ひな・・・?」


「これ、受け取れないっ・・・」





無理やり僕の胸に押しつけられる婚約指輪。


どれだけ考えても思考が追いついていかない。


「・・・受け取れないって・・・」


「太陽君とはっ・・・結婚、でき・・・ないっ」


「何言ってるんだよひな!僕が嫌になった?」



その言葉に頭を横に振るひな。

「じゃあどうして!!・・・もしかして、結婚だけじゃなく僕とも別れるとか・・・言わないよね?」
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