【完】恋の太陽、愛の月
「・・・別れよ。太陽君」
僕は頭に鈍器を殴りつけられたような衝撃を受けた。
どうしてこんなことになったんだ。
何故ひなが僕に別れを告げているんだ。
「何言ってんのひな・・・」
「別れて・・・ほしいの」
「僕はまだ好きだよ。別れたくない」
ひなは僕の言葉に何度も何度も頭を横に振った。
『別れたい理由は何?』
何度問いかけても答えてくれない。
「・・・ひな!僕は納得できないよ!何も教えてくれないんじゃ・・・別れる理由だってないじゃないか・・・!」
「・・・っ」
僕自身の目からもついに涙がこぼれおちた。
男だから、ひなの前だから泣かないつもりだったのに。
大好きな人が自分から離れていこうとするのを止める為だったら、涙だって流れてしまうものなのか。
そんな僕にひなは優しいキスをした。
軽く触れるだけのキス。
「ありがとう。私を好きになってくれて」
「・・・ひ・・・な」
ひなはゆっくりと僕から離れていく。
もう止めることはできない。
きっと今のが"最後のキス"だ。
「さよなら・・・太陽君」
この日を境にひなは僕の前から姿を消した──。