【完】恋の太陽、愛の月
【咲夜side】
………
……
…
「・・・閉店?」
俺はflower fairyの前で立ち尽くしていた。
ひなの店。
それは忽然と姿を消したという合図だった。
店の扉には白い紙に黒い文字でこう書いてあった。
【今までご利用くださった方本当にありがとうございました。このたびflower fairyはこちらの理由で閉店させていただくことになりました。申し訳ございません】
「こちらの理由ってなんだよ・・・」
俺はすぐにひなたに電話をかけた。
だけど返ってきたのは無機質な声。
『おかけになった電話番号は現在使われていないか……』
嫌な予感がした。
昨日の今日で急に閉店なんておかしい。
俺はがらんとした店の中に急いで入った。
家の中も生活感全くなくなっている。
「ひなた!おい!!」
叫んだ後に俺は気付く。
昨日の丸岡さんっていう奴は、太陽の代理で来ていた。
・・・だとしたら、今ひなたはきっと太陽の所に違いない。
だったら俺が出る幕なんかないだろう。
「せめて一言くらい言ってけよ・・・馬鹿ひなた」
店の外では今の時期には珍しい雨が降り始めた。