【完】恋の太陽、愛の月
・・・失恋よりももっとひどい未来が俺を待っていた。
ひなたは俺と幼馴染でいるということさえ否定したのだろう。
誰もいない店を出た俺は傘をさしていない状態で歩き始めた。
大粒の雨が降りかかってくる。
いっそこの雨が俺の全てを洗い流してくれればいい、そう思った。
メガネのレンズに水滴が落ちてくる。
「冷てぇなぁ」
最後に俺自身のハッピーエンドを望んでいたわけじゃない。
でも、今まで通りの生活があると信じていた。
ひなたと太陽は二人で微笑みあって、だけど俺は幼馴染としての立ち位置は変わらない。
確かに昨日ひなたは俺との約束を思い出して、抱きしめてくれた。
あれだけでひなたが太陽よりも俺を好きになったなんてことは思わない。
ただ、少しだけ期待したのは事実。
・・・もしかしたらあれが俺への最後のプレゼントだったのだろうか。
「とにかくもう終わりなんだよ。終わり。諦めろ、俺」
空を仰ぎ雨を受ける。
冷たい雨が体にどんどん突き刺さった。
ひなたとの突然の別れは俺に一番の傷を残すことになった。