【完】恋の太陽、愛の月


そして少し時間は過ぎて12月31日。


ひなたがいなくなってから数日がたった。




俺は魂が抜けたように、ただ仕事を淡々とこなすことしかできないでいた。



「先生ー?最近おかしいよ?」


「疲れてるなら休んでもいいんだよ?」


「せんせー!」



生徒たちからの言葉は少なくとも俺を塾に来させる理由になっていた。






「今日も楓ちゃん休みなんだねー。結構休んじゃってるけど大丈夫なのかなぁ」


「ねー。このまま進学するまで塾来ないとかだったら結構薄情じゃない?」


「ほんとほんと」




ひそひそと聞こえる楓と同じコースに入っている生徒の声。


・・・そうだ。

あの日から楓は塾に顔を出していない。




あんなにも進学のために頑張って塾に来ていたのに。



「無駄口叩いてないで早く教科書出せよお前ら」


「あっ月城先生・・・!ごめんなさぁい」




結局背中を押してくれた楓に対しても顔向けができないでいる俺がいる。


・・・情けない。





~♪


「あー!月城先生携帯鳴ってるよー??」


「電源切っとくの忘れてた。悪いな」



授業が始まりかけた瞬間に鳴った俺の携帯。

画面には『朝比奈太陽』という名前が表示されていた。




「・・・今日の授業はプリントだ。授業が終わるまでに穴埋めを完璧にしとけ」



生徒たちの驚きの声を聞き流し、俺は教室をでて太陽からの電話に出た。
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