【完】恋の太陽、愛の月
俺は体調不良ということで塾を出た。
勢いよく塾の扉を開け出ようとした時。
「久しぶり、先生」
「・・・楓!?」
「えへへ」
楓は髪の毛をショートヘアにしてパーマをかけていた。
そしてメガネも外し、コンタクトにしている。
最初誰なのか全く分からなかった。
・・・どうしてここに楓が?
「塾やめようと思って来たの」
「・・・やっぱりやめるのか」
「うん。お母さんもそろそろ家庭教師にして苦手なところだけやってみたら?って言ってくれたから。先生が理由とかそんなんじゃないよ?」
「・・・」
「ね、ひなたさんとどうなったの?」
「どうって」
「まだ遠慮してあの人から奪ってないの?」
「・・・奪うとか考えられない。それにひなたは太陽とつい最近別れたんだ」
「え!?チャンスじゃん先生!」
「・・・俺の前からも姿を消した」
「嘘だぁ。だってさっき喫茶店で見たもん。一緒にケーキも食べたし」
「それこそ嘘だろ・・・?」
楓はにこにこと微笑みながら俺にこう言った。
「良かったね。先生」
「・・・?」
そして楓はポケットの中からストラップらしきものをとりだしてきた。
「なんだよこれ」
「私からの最後のプレゼント」
そのストラップはクロスがモチーフになっていて、もう一つあれば完成するというようするにペアストラップだった。