【完】恋の太陽、愛の月
「あとは先生次第だよ」
「俺次第?」
「うん!ほら、早くいつもの喫茶店行ってきなよ!」
「・・・」
「私はもう大丈夫。先生の事、憧れだったって気付いちゃったから」
俺は少しだけ深く楓に頭を下げて塾を出た。
一度も振り返らずにあの場所へ向かう。
「頑張ってねせんせー!!」
俺の後ろで楓がまた背中を押してくれた。
楓には必ず幸せになってほしい。
そう思った。
「はぁ・・・はぁ・・・」
走って走って、辿り着いたいつもの喫茶店。
「いらっしゃいませ」
「清水さん!!」
「お待ちしておりました」
「はぁ・・・はぁ・・・どういう・・・」
「って言っても場所は変わるんですけどね。分かりますか?あの約束をした場所」
「・・・!」
「また二人でのご来店マスターと共にお待ちしております」
深々と頭を下げる清水さんに頷いて喫茶店を出る。
あの"約束"をした場所にひなたが・・・いる。
俺は一気に駈け出した。