【完】恋の太陽、愛の月
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咲夜が連れてきてくれたのはおばあちゃんのお墓だった。
一人で勝手に一歩先を進む咲夜を私はさっきまで太陽君の隣で歩きながら睨んでいた。
でも今は後悔している。
咲夜も悪気があって言ったわけじゃないのに、私は太陽君のことばかり考えて咲夜のこと悪者にしてた。
何かを思いついてもすぐに口に出す咲夜じゃないってことは私が一番分かっていたはずなのに、私は歩いている間ずっと・・・。
小さく「ごめんね」と呟く。
それと同時に太陽君がおばあちゃんのお墓に駆け寄った。
「ばあちゃんっ・・・!」
止まっていた涙をもう一度溢れださせる太陽君。
咲夜はそんな太陽君の隣に立ち、肩に手を置いた。
そして静かに涙を流す。
私もおばあちゃんのお葬式を思い出しながら、涙を流した。
それは悲しみの涙と共に
もう一度三人が一緒にいるんだといううれし涙でもあった。
もしかしたらおばあちゃんが私たちを引き合わせてくれたのかもしれない。
そんな風に勝手に思い込んでみた。
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「おばあちゃんっ・・・!」
「ひなた・・・。もうそろそろ戻らないか?」
「・・・やだっ」
「いつまでもそんな風じゃばあちゃんも成仏できないんだぞ」
「成仏なんてしなくていいっ!私たちのとこにずっといてくれればいいのっ・・・ううっ」
「いい加減にしろひなた。・・・お前だけが悲しいんじゃないんだ。俺だって・・・」
「・・・咲夜?泣いてるの?」
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お葬式の日初めて見た咲夜の泣き顔。
性格も見た目も全く違う太陽君と咲夜は泣いている時は同じに見える。
太陽と月。
交わるはずのないこの二人。
重なった時は一つになる。