【完】恋の太陽、愛の月


このストラップは見るからに誰かとのペアストラップ。


そう・・・これはあの遊園地に一緒に行ったときに買ったもの。

あの時は咲夜と楓ちゃんにお似合いだと思って・・・。


「本当は先生とひなたさんにお似合いで・・・買ったんです。いつか、こんな日が来るかもしれないって勝手に思ってたんでしょうねどこかで」


「楓ちゃん・・・」



少しすると清水さんが何かを持って私たちのところにやってきた。


「お待たせしました」


「え!?清水さん?私たちまだ何も・・・」


「サービスです」



私と楓ちゃんの目の前にはキャラメルイチゴケーキと紅茶が並んだ。


「食べましょう!ひなたさん!」


「・・・うん!」







気付いてしまった自分の本当の気持ち。


「美味しいね、楓ちゃん」


「はい!」


もう二度と手は届かない人なのだろうけど。

私は今ようやく本当の自分になれた気がする。







「ちょっと私塾寄らなきゃいけないんで・・・先出ますね!」


数十分たって楓ちゃんが席をたった。


「私もそろそろ出ようかな」


「これからどこに行くんですか?」


「・・・あの約束をした場所」


ぼそっと呟いた声。

楓ちゃんに聞こえたかどうかは分からない。





傍で清水さんが私たちの食べたものの後片付けをしていた。


私は「美味しかったです」とだけ伝えて席を立つ。

楓ちゃんもその後に続いた。
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