【完】恋の太陽、愛の月
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喫茶店を出てから楓ちゃんと別れた私は約束をした公園に来ていた。
少しだけ場所はうろ覚えだけど、あの約束はこの公園でしたはず。
ふと見るとふわふわっと粉雪も舞い始めてきた。
辺りも暗くなりしんとしていて、自分だけしかこの世界にいないんじゃないかと錯覚してしまう。
私は楓ちゃんにもらったペアストラップをとりだし、ぎゅっと握りしめた。
「・・・咲夜」
無意識のうちに私は咲夜の名前を呼んでいた。
そして・・・。
「・・・呼んだか?」
聞こえるはずのない声が私の後ろから聞こえた。
「・・・嘘」
「本物だよ」
そこには片割れのストラップを持った咲夜が立っていた。
「・・・どうして」
「さぁな」
走ってきたのか少しだけ咲夜の肩が上下している。
「ありがと、咲夜。見つけてくれて」
「・・・別に」
「好き」
「・・・!?」
咲夜は私の言葉に過剰に反応した。
気のせいだろうか、眼鏡もずれている気がする。
「大好き」
「・・・何言ってんだよ」
「私のこと絶対お嫁さんにもらってね?」
「・・・お前」
「ずっと気付かないフリをしてきた。どうして太陽君をあの約束の相手だと思ってしまっていたんだろうって考えたときに、はっと思った。二人とも幼馴染で、太陽君が私たちから離れてしまうって分かった時に好きって感情とまじっちゃったんだと思う」