【完】恋の太陽、愛の月


「ひなた・・・」


「返事はいらない。私、ここを出て行こうと思うの」


「・・・」


「自分の力で一から花屋さんやろうと思ってるんだ。きっとものすごく大変だと思う。だけど新しいことに挑戦してみたいの」


「・・・だ」


「え?」


「好きだ。俺もお前がずっとずっと好きだった」


「さ、咲夜・・・!?」




咲夜は私を思いっきり抱きしめてきた。


私も思わず咲夜を抱きしめ返す。



「俺は太陽を本当に裏切った。今、この瞬間に!最低だ!励ます言葉を行っておいて・・・俺が太陽からひなたを奪った・・・!」


咲夜の腕が、体が震えている。

まるで小さな子供みたいに私の腕の中で。



「あの約束をした日からずっとひなただけを見てきた。でも、ある日からひなたは太陽ばかりを目で追うようになって・・・。何度も諦めようとしたんだ!だけどやっぱり諦めきれなかった。だから今こうして・・・」


「好き。大好きだよ咲夜」


「そうやって言ってもらえる日を心の奥で望んでいたんだっ・・・」


「ごめんね。ごめんね咲夜」


「謝るのは・・・俺じゃない。太陽だ」


「・・・あ」


「俺にはただ好きと言ってくれればいい。それで俺は・・・お前を許す」


「許すって、何それ!もう」


「いいだろ・・・別に」


「・・・ひゃっ・・・んっ・・・」



咲夜は私に優しいキスをした。


私の純潔が戻ってきたような、そんな気がした。

純潔は好きな人に抱かれて初めてなくなったと言えるんだ。



私は何を勘違いしていたんだろう。
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