【完】恋の太陽、愛の月
1月1日。
私たちの新しい生活と新しい年を迎えた。
私は咲夜と一緒に太陽君の元へ向かった。
もちろん朝イチで。
太陽君は冷静だった。
むしろ穏やかな顔で私たちを迎えてくれた。
「とりあえずそこに座ってて」
「う、うん」
「ほら咲夜も」
「ああ」
太陽君は社長室の奥の扉を開きある人物を招き入れた。
それは・・・。
「丸岡さん、早く入って」
「・・・」
丸岡信司さん。
あの人だった。
よく見ると丸岡さんの右頬には大きなガーゼが貼ってある。
「すまなかった!」
次の瞬間その丸岡さんは私の前に土下座をしてきた。
頭を床にこすりつけて、大の大人がやることではないはずなのに。
「どれだけ謝っても君を傷つけてしまったのには変わりない。俺は・・・俺って奴ぁ・・・」
「あ、頭をあげて丸岡さ・・・」
「駄目だよひな」
「た、太陽君?」
「一生許しちゃ駄目だ」
私はその場で悟った。
丸岡さんの右頬をこんな風にしたのは誰なのかと。
「・・・僕も許さないから、一生この会社で僕の秘書として働いてもらうつもり」
太陽君は私の身に起こったことを知ってるようだった。
そして、ちらっと私と咲夜の方を見てこう言った。
「二人とも、結婚式はいつにする?」
咲夜はもちろん私も拍子抜けした。
もう私たちの関係まで見抜かれているなんて。